弱視、斜視に眼帯、アイパッチ

同情、からかい… 医師『遮へい方大切』 親ら柄に工夫

 眼鏡などで矯正しても、視力が正常に達しない弱視や、両眼の視線が正しい目標に向かわない斜視は、子どもの約2、3%にみられる眼(め)の病気だ。眼帯やアイパッチなどを使用した治療を、早い時期から始めるほど回復も見込まれるのだが、周りの不理解から治療に専念できないケースも少なくないという。 (遠藤 健司)
 「眼帯をつけたまま、学校へ行って、いじめに遭わないだろうか」。来春、小学校入学を控える子どもの母親は気が気でない。子どもは、右目と左目の視力が極端に異なる不同視。放置すれば、視力の悪い方の眼が使われず、視力が伸びない。そのため、良い方の眼を眼帯やアイパッチでふさいで、悪い方の視力を無理に使う遮へい法の治療を医師から勧められた。
 眼帯アイパッチをしている子どもの親で、同様の悩みを持っている人たちは少なくない。札幌市の大門祐子さんもその一人。治療中の子どもが「目がない」「幽霊みたい」と言われた悔しさを忘れられない。
 数年前、同じ弱視の子どもを持つ沖縄県石垣市の甲斐恵子さんと、弱視などについて考え、親をサポートする「あいぱっちくらぶ」を発足。治療法やアイパッチの種類などについて、意見交換できるホームページ(http://www.eyepatchclub.jp/)を開設した。
 主な相談内容は▽身内や地域の理解が低い▽他人の視線が気になる▽子どもがアイパッチや眼帯を付けたがらない−ことなど。
 大門さんは「特にお年寄りなどは、すぐ『かわいそう』と言って、アイパッチをさせている親を非難することが少なくない。しかし、早い時期に治療することで視力の回復が見込める病気。かわいそうだからと治療しなければ治らないし、治療せずに一生、眼が見えなくなってしまうことの方が、(子どもにとって)かわいそう」と訴える。
 一部の幼稚園などでは、安全性の観点から、アイパッチ着用での来園を拒まれるケースもあるといい「アイパッチの必要性を理解してほしい」。
 他人の視線も大きな問題。海外では、子どもがアイパッチを嫌がらないよう、さまざまなデザインも登場している。皮膚が弱く、粘着性のアイパッチが付けられない子ども用には、眼鏡にかぶせる布製アイパッチもあり、甲斐さんが個人輸入したのをきっかけに、今春から日本でも発売されることになった。
 甲斐さんは、親も子どもと一緒に世間の視線と闘っている現実を説明。「少しでもかわいく見えるように、絵を描いたり、シールをはったり。布製アイパッチには子どもが好きなキャラクターのアプリケをつけるなど、子どもの心が少しでも明るくなれるよう、どの親も心を砕いていることを分かって」と話す。
 周囲の理解不足から、途中で遮へい法をあきらめてしまうケースも。しかし、人間の視力は赤ちゃんのときに急激に発達し、十歳くらいで完成される。「大人になってからでは手遅れ。弱視、斜視は、とにかく早期発見、治療が大事」と浜松医科大眼科の佐藤美保助教授は強調する。
 その上で、三歳児健診での眼の検査の徹底を求める。家庭でも▽テレビを見るときに近づき過ぎていないか▽両方の眼で見ているか−などのチェックを勧める。片目が見えていない場合でも、子どもは不自由そうにしないため、つい見落としがち。チェックの際は、片方の目ずつ、見えているか確認することが大事だ。また「うちの子に限って見えないはずない」という親の思い込みで、治療の機会を逃すケースも少なくなく、佐藤助教授は注意を呼びかける。
 弱視や斜視だった際は、医師の指導のもとに治療を。「眼帯などを使用せず、目薬で眼を見えにくくするペナリゼーションという治療もあるが、弱視の度合いがひどい場合は、有効ではない。遮へい法は、子どもも嫌がるし、親も一緒に取り組まなければならず大変だが、欠かせない治療。視力を伸ばすための時間は限られており、周りの人は見守ってほしい」と佐藤助教授は話した。
 アイパッチを使用する際は、テレビゲームやパズルなど集中するときに、効果があるという。



記事提供:中日新聞




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