記載の文書は協和病院・山本医師の許可を得て転記しています。

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【大分支部メーリングリストより転記】

山本@大分呼吸器科医です。複数のMLにポストしておりますので、場違いな印象を持たれる方もおられるかもしれませんが、重大な結果を生みかねない事故の発生がありましたので、ご連絡させていただきます。ご容赦ください。在宅酸素療法を実施されている医師、看護婦の方々に注意を喚起したいと考えます。

事故発生日:本日(12月25日)午前8時ころ原因医療機器:テイジン ハイサンソ TO−90−3N 加湿器からの酸素漏れ事故発生状況:肺気腫による呼吸不全で、四年前から在宅人工呼吸管理と在宅酸素療法の併用にて治療中であったSYさん(69歳男性)が、朝ベッドサイドで排尿をした直後、チアノーゼを生じ、呼吸困難を訴えた。妻がSpO2を測ったところ45しかなく、病院に連絡した。ただちに患者宅にうかがったところ、酸素発生装置の電源のインジケータランプは点灯し、3リットルの酸素発生量を示す数字も点灯しており、一見正常に運転されているように見えた。酸素のラインの閉塞やはずれもなく、呼吸器(LP6)に接続されていた。患者は、安静にしていたため、チアノーゼは消失していたが、SpO2は85と、通常よりかなり低めであった。ただちに酸素ボンベから酸素の供給を行うよう変更したところ、数分でSpO2は99にまで上昇し、本人の呼吸苦の訴えも消失した。
あらためて酸素発生装置を点検したところ、本体にある流量計の赤玉が動いておらず、ノズルから酸素の放出がないことが確認された。テイジン立会いのもとに機械のチェックを行ったところ、加湿器が本体から緩んでいて、そこから酸素が漏れていることが確認された。患者宅の機械は、それまで使用していたハイサンソTO−90−3Lから、業者の手により先週木曜日(12月21日)、新機種(TO-90−3N)に交換されていた。患者、家族ともその後加湿器の操作はしていない(呼吸器に接続しているため、酸素発生装置では加湿を行っていないため)。
考察:これまでの3L機と、新機種の3N機の変更点として、加湿器自体でのエア発生が確認できなくなっていることがあげられる。さらに、加湿器が充分に本体に挿入されていない半ロック状態でも、流量計に酸素の発生が視認されるため、そこで挿入を止めた場合、そのままで使用できてしまうが、本体に軽い衝撃を加えただけで、加湿器が緩み、酸素が漏れ出すことがわかった。この事態が発生してもアラームは鳴らないため、事故の発生が確認できない。今回の事故は、人工呼吸器併用という特殊な状況下で発生したため、原因発見が遅れた(患者さん自身が酸素が止まっていることがわからない)可能性があるが、同種の事故が起こりうると考え、報告する次第です。メーカーに対しては、加湿器が完全ロックの状態でなければ酸素の放出が起こらないようにすべきであること、アラームの設置を行うよう要請いたしました。

連絡先:大分協和病院 内科 山本真
TEL 097-568-2333
FAX 097-568-0795

転載自由です。事故を未然に防いでください
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【労住医連メーリングリストより転記】
その後調査を進めてみて、このタイプにはとんでもないセキュリティホールがあること
がわかりました。加湿器が半ロックで、そこから酸素がかなりもれていても、「視流
器」と書かれている流量計みたいなモニターは、正常であることを示してしまうのです
ね。今日、うかがった在宅酸素の患者さんのなかに、ノズルから出した酸素を、外付け
の加湿器に泡立てさせて使っている人がいました。患者さんにもプロはいるもんだと感
心した次第。今回の事故も、患者さん自らがパルスオキシメータを持たれていたからこ
そ判明したわけです。リスキーな方への対策が必要です。


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